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 ひとりでに漏れた溜息と同時に冷蔵庫を開けると、いつもと同じ、テレビCMの冷蔵庫みたいにきちんと整頓されたタッパーと食材。  その手前に不自然に、私が好きなプリンが置いてあった。  昼間は私は仕事で買い物はほぼ彼が行ってくれるから、ここにあるのは彼が買ってきたものばかりなんだけど……。  手を伸ばしかけて、やめた。  私のために買ってきたならそう言えばいいのに言わないところが可愛くない。  バタンと閉めて、思い直して缶ビールを取り出して部屋に戻った。  彼の部屋からは、キーボードを叩く音が、途切れ途切れに聞こえていた。
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