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「確かミリアムは激しいのがご所望だったか?」
「だ、誰もそんなにこと一言もっ……」
そういえば海での時に、優しくして頂かなくても結構ですからっと言った記憶がある……
レオが首筋にカプリと噛み付いてきたもんだから体がビクンと跳ねた。
「あ、あれはそういう意味ではないですからっ!」
バタバタと慌てていると耳元でフハッという笑い声がもれた。
「分かっている、冗談だ。」
──────からかわれたっ……!!
大人びた顔をしたかと思えば無邪気に笑う……
悔しいけれどレオのこのはじけるような笑い方はすっごく………
…………キュンてくるっ───────……
「ミリアム……綺麗だ。」
レオは私の頬に手をそえると、唇を重ねてきた。
儀式の時の形式だけのキスとは全然違う……
甘くて深い………
体が熱を帯びてとろけるような気持ちのこもったキスだった。
──────────ダメだ……
このままじゃレオのことを本気で好きになってしまう。
必死で気持ちを抑えようと心の中で抗うも、もうあと一歩気持ちが動けば簡単に堕ちてしまうだろう……
さらに深く入り込んでこようとしたレオからのキスを、口を閉じて拒絶した。
「……ミリアム?」
レオは困惑したような表情を見せたが、すぐに冷めたような鋭い目付きへと変わった。
「おまえにとってこの結婚は、国と国との契約なのか?」
「それはっ………」
全てをレオに話せたらどれだけ楽だろう……
でもそんなことできない。
この計画がバレてしまったら、大好きな母と二度と会えなくなるかもしれない……
答えられないでいる私に、レオは苛立ちながら体を起こした。
「俺は自分のことを好きでもない女を無理矢理抱く趣味はない。」
レオは私から離れると寝ると言って背中を向けた。
「それでは床入れの儀式が終了できません。」
「そんなもの、やったとでも適当に言っておけ!」
必要以上の感情を抱いてはいけない。
他の儀式と同じ、粛々とこなせば良かったのだ。
でも……
レオの温もりに触れれば触れるほど、冷徹にならなければならない心が淡くかき乱されていく……
自分でもこの気持ちをどう扱えばいいのかがわからなくなってきていた。
レオの気持ちから逃げて……傷付けてしまった……
背を向けて眠るレオに私はどうすることもできない。
自分に与えられた役目が、これほどまでに辛いものになるだなんて……思いも、しなかった───────………
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