Bug・Life

　いつもポケットに入れている錆びた鍵…どこにいても唯一変わることのないソレに触れ、背後の彼女を刺激しないようにゆっくりと部屋を見渡す。

　どこまで続くかもわからない螺旋の天井。
　奥から山椒魚に似た複眼を持つ生物が群れをなして這い降りて来る。

　タンスやベッドはガタガタと揺れ、蓋の開閉音が部屋に響いていくが…そこで、タンスの上に置かれたデジタル時計だけが今までと変わらないことに気づく。