悲しみと幸せ

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「ねえ、朔太郎、見て見て、季節限定も買ってきちゃった」 「また、そんなに買ってきたのか?」 箱から1つ取り出し、金縁の小皿に乗せた。 「そうなのよ、毎日でも食べたいの」 「そこの西山って、言ったっけ?経済新聞にも載ってたな」 無心にパクつく美代子。 「どっかで見たことあるんだよな、西山って、思い出せないんだよなぁ」 「朔太郎は、いろんな人と会ってるからね、似た人もいるのよ、きっと」 「そうだな」 「待った?こんなに早くお店出られたの?」 「いや、今来たところだ、あぁ、今日は早く完売したから、早めに店を閉めてきたんだ」 拓馬は女性を車に乗せた。 大村沙代、拓馬の恋人だった。 沙代は高校の時から、付き合っていた。 「ねえ、みのりちゃんの三周忌も済んだことだし、もういいんじゃない?」 「何がいいんだよ!沙代は忘れたのか?」 「だってあれは、聞こえてなか..」 ハンドルを叩いて、拓馬は叫んだ。 「違う!アイツらには聞こえていたんだ!なのに、無視をした!みのりが側にいたのに、助けられたはずなのに!畜生!」 「拓馬...」 「ごめん、つい頭にきて、いつも俺こうだよな、ごめんな」 「いいわよ、拓馬の気持ち、私が一番よくわかっているから」 そう言って沙代は、拓馬の手を握った。 二人は【あの時】の高校生だった。
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