復讐の結末

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「早くっ!急がないと!涼平さん、先に行って!」 絶対にリレーの選手には選ばれなかった桜子は、足の早い涼平にそう叫んだ。 ホテルの窓から見ていた桜子と涼平は、沙代がしゃしゃり出た時点で、危険を察知し、部屋を出た。 涼平が、ヴィラが立ち並ぶ歩道を走っている間に、拓馬は刺されていた。 足の遅い桜子がロビー前を通過しようとしていた時、後ろから声がした。 「桜子さん!何かあったんですか?」 畑山が、沢山の警官と中村朔太郎とゾロゾロと歩いて来た。 「浜辺のっ、木のところでっ、奥山がっ、ナイフを持ってっ」 桜子は、息があがり、途切れ途切れでしか喋れなかった。 「なんだと!全員浜辺へ急行しろ!急げ!救急車も手配!」 警官達が走りだし、浜辺へと向かっていった。 「桜子さん、先に行ってます!」 畑山は、桜子の肩をポンと叩き、走っていった。 「桜子さん、僕は行った方がいいのでしょうか?」 朔太郎が、憔悴しきって尋ねてきた。 「朔太郎さんは、ここにいてください」 桜子はそう言って走っていった。 奥山は、ゆっくりと喋り始めていた。 「いいか、よく聞け、広小路は俺の横領を知っていた、そして多額の金額を上乗せして俺を解雇したんだ、多額の金額が何に使われたか知ってるか?おいっ!西山!」 拓馬は朦朧とする意識の中で聞いていた。 「わかんねぇだろうな、そりゃそうだ、教えてやるよ、お前の店の準備資金だ、何故かわかるか?お前の妹が海で死んだよな?その時から広小路の巧みな計画が始まっていたんだよ、お前に妹の復讐を手伝う振りをして、実はアイツは自分の息子の復讐をはらす事しか考えてなかったのさ、そんな奴だ、広小路は」 「そ、そんな..」 拓馬は微かな声で言った。 「あなた、おかしいわ!拓馬は関係ないじゃない!逆恨みよ!それは!」 沙代が腕から血を流し、拓馬を支えながら叫んだ。 「お前達だってそうだろ!助けてくれなかったから?妹を見捨てたから?それこそ逆恨みだろうが!お前らで助けりゃ、よかったんじゃないのか?え?どうなんだよ!」 奥山は、近づく真理子にナイフを向けながら叫び、話を続けた。 拓馬は、泣いていた。 そして、少しづつ意識が薄れていった。 「俺が広小路を殺って、喜んでる奴もおかしいけどな、なっ!真理子!広小路が中村朔太郎に復讐したら、あの女(美代子)は未亡人になって林涼平と会いたいだけ会える、しかし俺がそれを阻止した、なのに、お前もバカだよな、自らの手であの女を殺めるとはな!」 それを聞いた真理子の形相が変わり、1度足を止めた。 そして、足元にあった太くて長い流木を手にし、走っていった。
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