復讐の真実

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復讐の真実

桜子は走っていた。 ホテルのロビー前で、誰かに呼び止められた。 「神山さん!」 涼平だった。 「あら!涼平さん、どちらへ?」 「神山さんこそ、そんなに急いでどこへ?」 不適な笑みを浮かべて桜子は言った。 「私、エルキュールポアロの弟子になったんです!だから、これから病院へ行って聞き込みです!」 「え?誰ですか?その人。この事件は奥山が逮捕されて解決なんじゃないですか?」 桜子は人差し指を立てて、横に振った。 「それは素人の見解ですね、この事件はまだ何かありそうですよ」 涼平は眉間にシワを寄せていた。 「涼平さんはどこへ?」 「あ、僕も病院へ行こうかと思いまして」 「あら!奇遇ですね、一緒に行きましょう!」 「あ、はいっ!」 二人はタクシーに乗り込み、病院へ向かった。 病院に着くと桜子と涼平はそれぞれのところへ向かった。 「私は拓馬さんのところへ行きますので」 「僕は真理子の病室に行きますね」 「では!」 桜子はそう言って走っていった。 涼平はずっとそれを見ていた。 病室の前には警官が1人立っていた。 「すみません、私、神山桜子と申します、ハッピー旅行会社の者です」 「あ!はいっ!畑山さんから聞いております!どうぞ!お入りください!」 (畑山さん、話が早い!流石だわ) 桜子は拓馬の病室に入っていった。 「桜子さん!」 沙代がびっくりした顔で言った。 拓馬は沙代の声に気付き、枕から頭をもたげた。 「桜子さん、どうしたんですか?あ、今回は本当にご迷惑おかけしました」 「拓馬さんも沙代さんも、傷の具合はどうですか?」 2人の近くに寄って行く。 「僕も沙代も大丈夫です、比較的傷も浅くて、来週には向こうの病院に移れそうです」 「そうですか、良かったです、それまでは私もこちらで待機してますので、ご安心ください」 「ありがとうございます」 二人は軽く会釈した。 「お元気そうなので、ちょっとお二人に伺いたいことがありまして」 「え?なんでしょうか?」 桜子は深く呼吸した。 「実は、私、真犯人というか、直接手を下さない【心理的殺人教唆】な人物がいるのではないかと推理してまして」 「え?僕らも操られていたということですか?」 「はい、言葉は悪いですが、お二人は広小路さんにうまく利用されていたということになりますが、広小路さんももしかしたら誰かに..と思いまして、本人には聞けないので拓馬さんが何か知っておられるのではないかと」 拓馬は首を傾げた。 「いやぁ、広小路さんとはちょこちょこ会っていましたが、それっぽい事は何も..あっ!」 「え?何かありますか?」 「えぇ、あまり関係ないかもしれないのですが」 桜子は身を乗り出した。 「どんなことでもいいです!お聞かせ願いますか?」 その時、病室のドアの小窓に人影が動いていた。
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