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「真理子、大丈夫か?」
涼平はベットに横たわる真理子を覗き込み言った。
「裂傷だから、大したことないわ」
奥山も刺したつもりがかすめただけで、朔太郎も、刺そうと思ったが刺せず、微かに肩のあたりを包丁がかすめただけで済んだのだった。
「私、傷が治ったら刑務所行きね、ごめんね、涼平」
「いや、俺のせいでもあるんだ、真理子、本当にごめん」
真理子は目に涙を溜めていた。
「もう私の事は忘れて、お願いよ」
「そんなこと...」
涼平はうなだれていた。
桜子は顎に手を着け、口をへの字にして聞いていた。
「うーん、それは興味深いですね」
「その時はあまり気に止めてなかったんですけど、今思うと、もしかしたらそれがそうなのかな?と」
「調べてみる価値はありますね、ありがとうございます」
沙代が心配そうに言った。
「桜子さん、くれぐれも無茶はしないでくださいね、危ないことはやめてくださいね」
「大丈夫です、真相を知るだけですから」
シャキッと背筋を伸ばし、桜子は答えた。
「それでは、また来ますね、今日はお邪魔しました」
そう言い深々とお辞儀をして、病室を出ていった。
「さてと」
そう言いながらスマホから電話をかける桜子。
「もしもし?畑山さん?桜子です、ちょっとお話したいのですが、そちらに伺ってもいいですか?」
「ありがとうございます!では、後程!」
「そして、次は..っと」
再び電話をかける。
「もしもし?先輩?ちょっと調べて欲しいことがあるんですけど」
大田原に何かを頼んだ桜子。
電話をきった後、畑山のいる警察署へと向かった。
署内のソファーに座る桜子。
「神山さん!こちらへ」
畑山が手を振りながら呼んだ。
応接室のような部屋に入る桜子。
「どうかしましたか?」
「えぇ、ちょっと気になることがありまして、あ!朔太郎さんの取り調べは終わったんですか?」
「はい、終わりました、彼の場合は反省しているようで、未遂に終わってますので、とりあえず明日弁護士が来て釈放になります」
「そうですか、私が朔太郎さんと話すことは今は出来ませんよね?」
畑山は、頭を掻きながら考えた。
「うーん、そうですねぇ、出来なくも無いのですが、少しだけなら」
「ほんとですか!」
(流石!畑山さん!話がわかる!)
桜子はニタッと笑った。
30分後、その部屋に朔太郎を連れて畑山が戻ってきた。
朔太郎の手には手錠がかかっていた。
「神山さん?!」
桜子の顔を見てびっくりした様子の朔太郎だった。
「朔太郎さん、少しお話伺ってもいいですか?」
「なんでしょう?」
憔悴しきった口調で朔太郎は答えた。
「広小路さんの息子さんの事で少しお聞きしたいのです」
「わかりました」
「その当時、大学の時の事、広小路さんの息子さんとの関わりをどんなことでもいいのでお聞かせ願いませんか?」
朔太郎は、目を閉じ、少し考えたあと、口を開いた。
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