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「広小路さんの息子さん、宗信くんとは学部が一緒でした。そんなに仲がいいわけではなかったのでしたが、たまに喋る程度でした。私はその頃サーフィン部を立ち上げて、サーフィンに明け暮れていたのですが、彼は勉強一筋という感じでしたね」
「宗信さんが仲が良かった方っていますか?」
「そうですねぇ、誰かといつも一緒にいるというような感じではありませんでした、そういえば涼平が高校は別だけど塾が一緒だと言ってました、あまり気にしていませんでしたが」
「そうですか...涼平さんとはサーフィン部以外でもいつもと一緒に行動していたんですか?」
朔太郎は首を横に振った。
「いえ、涼平とはサーフィン部で親密になって、大学では専攻が違っていたのでいつも一緒ではありませんでした」
「涼平さんと宗信さんは、専攻は同じでしたか?」
「うーん、確か同じだったと思います、でもキャンパス内で一緒にいるところは見たことがありませんでした」
「そうですか..」
桜子は何かを考えているようだった。
「神山さん、一体何を調べてるんですか?」
畑山が桜子に聞いてきた。
「直接手を下さない真の犯人探しです」
「は?!」
「黒幕ということですか?」
「いえいえ、そんな大袈裟なことでなく、この復讐劇に至るまで誰かが、うまくそうさせるように導いていたのではないかと思いまして」
「ほほぉ、それは考えたこともなかったことです、神山さんスイッチが入りましたね」
畑山はウンウンと頷きながら微笑んだ。
「朔太郎さん、貴重なお話ありがとうございました」
「あまりお役に立ててないかと思いますが、すみません」
「いいえ、そんなことありません、私の推理にプラスになりましたから」
桜子はポニーテールをギュッと結び直し言った。
朔太郎は畑山に連れられ、部屋を出ていった。
数分後、畑山が戻ってきた。
「神山さん、何か私がやれることはありますか?」
「いいえ、今回は私の思い過ごしかもしれないので、単独で調べてみます、もしもお願いすることがあれば依頼しますね」
「なんだかかっこいいですよ、神山さん」
桜子は頭を掻きながら照れていた。
「空振りで終わったら、笑ってくださいね」
「いや、今さっき、中村さんから聞いたことで、何を調べようとしているのか察しがついたので、僕も僕なりに調べてみようと思います」
「心強いです!では、私、まだこちらにおりますので」
「僕は明日東京に帰ります、何かあったらすぐに連絡ください」
「はいっ!」
2人は軽く握手をして別れた。
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