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桜子は警察署を出るとすぐに電話をかけた。
「もしもし、わたくしハッピー旅行会社の神山と申します。広小路社長の秘書の小山様でしょうか?この度はお悔やみ申し上げます、私共がついていながら社長をお護りすることが出来なくて、大変申し訳なく思っております」
電話に出たのは声からして初老であろう男性の声だった。
「そう言っていただけること、恐縮しております。はい、ありがとうございます。すみません、側近である小山様にお聞きしたいことがありまして」
小山という男は、快く対応してくれた。
「そうですか!やはり、そうでしたか!その文面の写メはまだ残っていますか?もし残っていたら私に送っていただけませんか?唐突で申し訳ありませんが」
小山は桜子が伝えたメールアドレスに送ってくれた。
すぐにお礼のメールを返した。
添付された写真を見る桜子。
(うーん、これだけじゃ裏付けにならないわ、とりあえず先輩の報告を待つことにするかなぁ)
桜子はとりあえずホテルに戻ることにした。
ホテルはとても静かだった。
警察の現場検証が終わり、広小路が使っていた部屋は内装工事に取り掛かっていた。
(人が亡くなった部屋だもんなぁ、大変だよなぁ)
ホテルの部屋の窓からその様子を眺める桜子。
スマホを手に取り、さっきの画像を見直す。
(このMって誰なんだろう?苗字?それとも名前?)
広小路に送られてきたメールの送り主は【M】としか書いていなかった。
書いてあるメールアドレスに、桜子が送ってみたが、案の定、送信出来なかった。
(この内容は、まるで広小路さんと宗信さんとことを知り尽くしている人物よね、だとすると前の奥さん?いや、動機がない。だとすると一体...)
LINEがきた。
大田原からだった。
【すごいことがわかったぞ!】
【え?!ほんとですか?】
かなりの長文らしく、大田原からのLINEの返信が再び来たのは数分後だった。
桜子は絶句した。
「こんなことって...」
何回も読み直した。
【先輩、ありがとうございます。かなりびっくりですが、何とか点と線が繋がってきました!】
桜子はすぐに電話をかけた。
畑山だった。
「もしもし?畑山さん?調べて欲しいことがあるんです!」
「えぇ、そうなんです!何とか向こうの方にお願いしてみてくれませんか?」
「ありがとうございます!待ってます!」
(よしっ!まさかとは思うけど...)
スマホをポンッとベッドの上に投げて、手を組み合わせ頭の後ろに回し、天井を見つめる桜子。
瞼が重くなってきた。
(あんまり寝てないからなぁ)
桜子はいつの間にか寝息をたてていた。
その時、桜子の部屋のドアの前から、立ち去る人物がいた。
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