復讐の真実

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ホテルからとヴィラからの明かりで、微かに足元が見える暗さの海辺に二人はいた。 「さあ、座りましょう」 「え、えぇ」 涼平は桜子に向けていたナイフを砂浜に置いた。 「父の死を境に、僕は広小路の事を調べ始めました、前妻との間に子供がいたこと、僕と同じ歳だったことがわかり、どうにか接点を持とうと同じ塾に通い、同じ大学に入学しました」 「宗政さんの事ですね?不慮の事故で亡くなった」 涼平はフフッと微かに笑った。 「不慮、そうですね、不慮の事故ですね、いや、そうじゃないんです」 「え?!それはどういう意味ですか?」 「朔太郎が彼にぶつかり道路に倒れてしまったですよね?朔太郎を押したのは、実は僕なんです」 桜子は目を丸くした。 (うそでしょ!) 「大切な人を失う辛さをアイツにも味あわせてやりたかった、でも僕は自分の手を汚したくなかった、母にこれ以上悲しい思いをさせたくなかったので、だから入学してから我が物顔でリーダー面していたウザイ朔太郎を使ったんです」 「朔太郎さんとあなたとは親友ではなかったのですか?」 涼平は大笑いしていた。 「まさか、親友なんて、笑わせないでください」 そのあと大きく首を横に振った。 「親友だと思ったことは1度もありませんから」 桜子は一瞬ゾッとした。 「広小路は息子の死を境に、色々と調べ始めたんです、そこで僕はMという名を使って情報を広小路に提供していたんです、アイツの復讐心を大きくするために。結局アイツは僕の思うがままに動いてくれました」 「涼平さんがあの銀行に就職したのも計画の1つ?」 「もちろんです、その通りです、広小路の会社が使っていた銀行ですからね、奥山の事も真理子のことも偶然ではなく、全て計画通りなんです」 「真理子さんとは愛し合っていたのでは?美代子さんもじゃないんですか?」 「うーん、そういうのは面倒くさいんですよ、愛してるとか、僕にはどうでもいいんです」 涼平は、頭をポリポリかきながら、困ったような素振りで言った。 「そうそう、西山さんの件、あれは偶然なんですよ、妹さんが溺死した事件ですけど、あれは神様がめぐり合わせてくれたんですね、僕に味方してくれたんです、だからあれから広小路に西山さんを利用して綿密な復讐計画をたてるように促したんです」 「涼平さん、あなたが一番凶悪な犯人ですね」 涼平は大笑いし、そのあと豹変した。 「なに言ってんだよ!俺は誰もこの手で殺めてないんだぞ!俺はアドバイスをしてやっただけだ!実行したのは、アイツらなんだよ!だとしたら罪には問えないよね?桜子さん」 「さぁ、それはどうでしょう?さっき、あなたは私に何をしましたか?何故そんなことをしなければならなかったのですか?その理由が証拠になります」 涼平は突然立ち上がった。 「立てっ!」 そう言って桜子の腕を掴んだ。 反対の手にはナイフが握られていた。
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