始動

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「新たな拠点ね。ザリチュの森から向こう側、アビス地区や龍が彷徨く地区は俺達の遊び場にするには危険だ、って言ってたのはお父さんじゃなかったっけ?そんな所に拠点を置くなんて…何楽しそうな事考えてるの?」 輝血は妖しく笑う 「それは食屍鬼がいた頃の話。暫く様子見をしていたがやはり食屍鬼という存在はもう居ないらしい。ならば我々の新たな拠点を置いても安心だ。可愛い幼子を喰われる心配をしなくて済むからな。と言っても本拠地は今のまま。僕達はラメント地区。輝血達はルスト地区。アザミ達はエクリプス地区のままだ。アビス地区はあくまで別荘感覚。向こうで時間が掛かる時に寝泊まりするだけの場所だよ」 「別荘か。なるほどね。じゃあ適当にアビス地区を見に行くように伝えておくよ。」 「ああ、頼んだよ。アビス地区に一番近いのはルスト地区だからね、ササッと見てきてくれ」 「任せて。…念の為確認をするけど、アビス地区に龍は来ないんだな?」 「足止めを食らっていて来れないはずだよ。だがこの世に絶対なんてものは無い。警戒はしておくように」 「分かった。また俺から連絡するよ」 「ああ。楽しみにしているよ、輝血」 輝血は電話が切れたのを確認し、男に電話を渡す 「何人かアビス地区に行くやつ見繕って直ぐに行かせて。別荘という名の拠点を構えるんだと。」 輝血がそう言うと男は頭を下げその場を去った。 「さて、と。そろそろ玩具で遊ぶとするか」 輝血は鼻歌を歌いながら薄汚れた扉に手をかける
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