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「そこのおっさんとお姉さん」
飛び出した光は男と女を囲いニヤニヤと笑う。
「なんだ君達!邪魔だ。退きなさい。」
男は女を自分の腕の中へ収めると囲む男達に声を荒らげた。
女は震え男の胸へと顔を埋める。
男達はそんな二人を見ても尚動くこと無くニヤニヤとしている。
囲まれる男女の隣を足早に過ぎ去る者や遠くから写真を撮る者、その場から離れる者はいたが、助けようとする者は誰一人としていなかった。
「何が目的だ?金か?!」
男は胸ポケットから財布を取り出し叫ぶ。
「何ぃ?お金くれるのおじさん?」
「そうやって女も買ったんだろうなぁ!」
「金がなきゃ何も出来ない哀れなおっさん」
男達は笑う。その笑い声は辺りに響く。
男は眉間に皺を寄せ面倒臭そうに財布の中から札束を取り出すと、地面へと投げ付けた。
「これでいいだろう!早く退きなさい」
男が投げ付けた札束を男達の一人が手に取り数え始める。
「財布の中にこんなに入れてるの?おっさん正気?」
数え終えた男はニヤニヤと笑いながらそれを他の男へと渡す。
受け取った男は黒いポーチへその金を入れ、胸ポケットへと直した。
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