始動

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「いやあ、美味かったな」 会員制の店から出てきた男が満足気に女へと声を掛ける。 女は辺りを見回し、早く帰りたいと告げた。 「何を怯えている?さっきのゴミに怯えているのか? それなら大丈夫だ。店にいる間に念の為護衛を呼んだ。 仮にまた現れたとしたらゴミ箱に捨ててもらおう。」 男は笑いながら女の腰へと手を回し「あの車が私の車だ。さあ、行こう」と数歩先に止まる車を指差し歩みを進める。 女はそれでもどこか不安気に辺りを見回しながら歩いた。 男は女を見て少し呆れた表情を見せながら車のドアを開けた。 「さあ、乗って。良いホテルを予約しているんだ。」 男がそう言うと、女は車に乗れば安全だと安堵した表情をする。 後部座席に乗った二人は車の扉を閉めた。 「出せ」 男がそう言うと、車はゆっくりと発進する。
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