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輝血と出会ってからずっと輝血にくっついて生きてきた。
カブト時代も輝血が居たから乗り越えられることもあった。
龍での生活も、輝血がいてくれたから我慢出来た。
喜びも苦しみも何もかもを輝血と共有し合ってきた。そう思っていた。
だがある日、輝血はキョウと出会い心を揺らしていた。
自分から離れていくのではないだろうか?そう思うと少し息苦しかった。
だから、自分も一緒について行こうと思った。
輝血がついて行きたいと思った人なら、と。
だが今、輝血の中に龍での生活の記憶が無い。
自分一人だけが知る、喜びと苦しみ。
苦しい部分は忘れていてもいい。
だけど、喜びまで失ったというのは少し悲しく思える。
あの時こんな事をして楽しかったね。
あの時のこの発言が面白かったね。
そんな思い出を二人で振り返ることはもうできない。
どこからどこまでを話してもいいのか分からない。
もし、自分が話した言葉をきっかけに全てを思い出してしまったら、目の前で悲しみ苦しむ輝血を自分は支えられるのだろうか?
支えたいと思う気持ちはあるが、支えられるとは言いきれない。
それは、俺が弱い人間だからだ。
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