想い

32/40
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/781ページ
男に気付いたキョウの目の色が変わる。 赤城は男を突き飛ばし、男はキョウの前に倒れ込む。 男が顔を上げると、ジッと自分を見つめるキョウと目が合った。 「自分が何をしたか分かっているのか?」 キョウの声色が変わる。 男は慌てて土下座をして許しを乞う。 輝血は男に見覚えがあった。 数日前まで東側で共に過ごしていた男、キョウの仲間だった。 東西関係無く、裏切り行為は御法度とされている。 キョウが仲間に対して怒る時は、裏切ったか、または取り返しのつかないミスを犯した時だろう。 キョウが怒った時に感じ取れる重苦しいこの圧は、輝血に少しの頭痛を与える。 不快な頭痛を気にしないように、輝血はキョウと男のやり取りを眺めた。
/781ページ

最初のコメントを投稿しよう!