想い

34/40

33人が本棚に入れています
本棚に追加
/781ページ
一時間ほど経ち、二人はキョウとレイに呼ばれ食事をする事となった。 この地区内にも飲食店は存在する。 そこで働く人々は皆、元はレイの客だと言う。 輝血にとってレイの仕事量は自分の所よりも数多く、懍の体調を心配した。 だが懍は疲れた様子はなく、ヘラヘラと笑いながらレイとじゃれ合っている。 「仲が良いねェ。」 じゃれ合う二人を見てキョウが笑いながら言う。 「ですね。」 輝血は少し寂しく思った。 あの場所は俺の場所だったのに。 「仲がええとかじゃないねん、コイツら俺の事舐めすぎやろ。なんでこんな親しい感じで来んねん?」 「レイの所の人間は皆、そういう風に接する事が出来るレイの事が好きなんだろォよ。」 「まぁなんでもええけど。で、何食う?自分らの好きなもん頼みや。」 レイは不服そうな顔をしながらメニュー表を輝血と懍に渡す。 「俺この店で一番美味くて高いやつがいいです!」 「やかましいわ。一番美味いやつがいいだけでええやろ。」 二人のやり取りを見て輝血は自然と笑みがこぼれる。 そして、何故だかどこか懐かしい気持ちになる。 昔の自分と懍を思い出した…のだろうか……?
/781ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加