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この国を脅かした 食屍鬼 という名の生き物は、一人の少年の人生に大きく関わり苦しめる存在となった。
その少年は青年へと成長し、この国の平和を背負う事となった。
昔から知る大人はこう言った。
「彼が彼として生きていられたのはたったの八年間。それ以降は自分の復讐、そして国の為に生きている。誰よりも長い時間を国に捧げてきたのだ。…誰が彼の失敗を責められようか?」
食屍鬼が現れ終止符を打った。
そこで終わっていれば良かった。
だが彼はまだ気付いていなかった。
彼を憎む人間が、着実に彼を捕える糸を張り巡らせていることに。
彼は仲間を引き連れ、まんまとその糸に足を絡め取られてしまった。
絶望。怒り。哀しみ。憎しみ。苦痛。
彼を支えていた光が、一つ、また一つと消えて行く。
守りたかったんだ、この光を。
手を伸ばせどそれには届かず、消えゆく姿をただじっと黙ってみることしか出来ない彼は、自分に失望した。
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