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「何を笑っているんだ!」
男が再び声を荒らげると助手席に座る男が振り返る。
「ホテル?笑わせるなよおっさん。お前とその女が行くのは地獄だ。」
黒く長い前髪の隙間から妖しく光る眼に捉えられた男はゴクリと唾を飲む。
「俺達の可愛い仲間の事をゴミって呼んでくれてありがとう。お返しにいい事してやるよ。」
黒髪の男は「なぁ?」と運転席の男へと声を掛けた。
「俺は女の子と楽しいことするからさぁ、おっさんはかーくん達と遊んでてよ。」
運転をする白髪の男がケタケタと笑う。
二人が楽しげに話す姿を見た女は怯え涙を流した。
「お前達は何を言っているんだ!護衛はどうした?!何が目的だ?!金ならくれてやる!元いた場所へ戻れ!」
男は女の頭を撫で叫ぶと、黒髪の男がまた笑う。
「そんなに一気に話すなよおっさん。
護衛なら先に行ってる。
目的は金だった。でもお前の余計な台詞で気が変わった。
元いた場所へは帰してやるよ、安心しな。」
黒髪の男はそう言うと後部座席の方へと身を乗り出し男の頭を殴り付けた。
男は白目を向き女の方へと倒れ込む。
女は涙を零しながら悲鳴を上げた。
黒髪の男は女を見てそっと手を伸ばすと、女はその手を払いのける。
「へえ、抵抗する度胸はあるんだ?」
黒髪の男は再び女の顔へ手を伸ばし指で涙を拭うと優しく笑いかけた。
「大丈夫、俺が用があるのはこのおっさんだけ。お前は大人しくしてりゃそれでいい。」
黒髪の男はそう言うと助手席に座り直し煙草を手に取り火を付ける。
四人を乗せた車は薄気味悪い森の中へと姿を消した。
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