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車内には黒髪の男が吐き出す煙が充満し、女は咳き込み白髪の男はニタニタと笑いながら車を走らせていた。
「それにしても口が達者なおっさんだねぇ。臭いし汚いし本当に金だけって感じ。」
白髪の男はルームミラー越しに倒れ込む男を見て吐く真似をする。
「金がなきゃ何も出来ないただのおっさん。
一緒にいる女もどうせ金目当てだろ。なぁ?違うか?」
黒髪の男は窓を開け煙を外に流しながら女へと問い掛けた。
女はケホケホと咳き込み涙目で黒髪の男を見つめる。
「聞いてんだけど。
口無いの?それとも耳が無い?次答えなかったら本当に無くしちゃうよ?口と耳。」
黒髪の男は女を見ると悪戯に笑う。
「お金に、困ってて…そんな時社長に会って…それで…」
女がか細い声でそう言うと黒髪の男は前を向く。
「それで全身ブランドで固めたダッサイ格好してるのか。
金に困ってる割には贅沢してるように見えるけど…
見栄張るのは悪くないけど、ダセェよお前。」
黒髪の男は笑いながらそう言うと「言い過ぎじゃない?」と白髪の男も笑った。
女は俯き小さく震える。
黒髪と白髪の男は女に構う事を辞め、腹が減っただ眠たいだとくだらない話を続けた。
暫くすると森を抜け荒んだ街が顔を出す。
「つーいた。」
黒髪の男が後ろを向きそう言うと、女は顔を上げ窓から外を眺めた。
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