20人が本棚に入れています
本棚に追加
物語のインビクタス(不公平、不当)な状況において、厚誼 (こうぎ。情があつい交際。深い親しみの気持ち) の友である主人公たちの負けっぷり(?)はなかなか粋である。
1960年代の若者の
「ドロップアウト世代」に対して
彼ら三人は
「クーリングアウト世代」
とでもいうべきか…。
クーリングアウトとは社会学用語で
「大望の冷却(フリーズドライ)」
「大志(アンビション)の保全」
のために今の舞台を一旦降りることだ。
(拙作「シリウスの伴星」にては「メタスタビリティ(準安定性)を蹴れ」と表現しているものと似ている。というかsame same )
物語は、自然な流れの中で、無理なく全てのフラグ(伏線。アンダープロット)を回収していて、作家の構成力の確かさを伺わせる。
各章のエピソードや、キャラクター、シーンの描写は端的、平明で、作家の視座が解像力に優れていると感ずるのは、対立する人物をも明快に描きあげ、書き分けているところだ。
ヒール役もそれなりのカッコよさを授けられている。
代筆者の〈お気に〉は「団長」で、映画
『ストリート オブ ファイヤー』の
ウィレム・デフォーを彷彿とさせる。(ツルハシこそ振り回さないけれど…)
デフォーは『プラトーン』のエリアス軍曹で脚光を浴びたが
『ミシシッピー バーニング』の
若きFBI捜査官は、メガネフェチのBLファンが悲鳴をあげるだろう程のイケメンぶりだった。
(──という訳で、分かるヒトには分かってしまうが、彼は拙作「リフレクト」と「プライア」の登場人物、 鬼 十真 (きさらぎ とうま) のモデルでもあります)
今はデフォー主演の『ゴッホ』が観たい。(邦画『HOKUSAI』も観たいです)
最初のコメントを投稿しよう!