same same

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ベスト 夏になると、ベストを着けた少年たちの映画を思い出す。 括りのジャンルとしては「ストリートギャングもの」になる。 そういえば… same sameな、抗争ボーイズを扱った、人気漫画原作の邦画を、先日テレビ放映していた。 画像は、とても美しかった。 キャラクターたちも皆、イケメンだ! 観ようと思えば観ることができた状況だったが、個人的事情で、家事を優先させねばならない場面だった。フィクションは、リアルに屈した… だから、諸々のリアルを飛び越えてやむ無し!と、観客個人のハートを打ち震わせ、鷲づかみして、さっと奪取(さら)っていってくれる程の作品でなければ…自分にとってベストとは言えない(のではないか?) ──と、ここ、 エブリスタの端っこで豪語する。 そうは言っても、まずは視なければ話にならないではないか? 予告編や紹介番組を見て、世の評判も耳に入っているし、連れが録画してくれていたプロローグ部分も覗いてはみた…とりたてて不満足なところはない…が、食指は動くのに、ラストまで見続けようかどうかの迷いが生じてしまった… 恋に似ている。 恋は状態なので、自分の意思でどうにかできる事ではない。 クピドの矢に射たれ、リアルシーンの優先順位なぞひとまとめに蹴飛ばして顧みない心地…地から心がフロートするあの感じ…ラストまで観よう…とかでもない。そもそも、観ていることを忘れてしまうし…終わって欲しくないのに気づいたら終わってしまってた。そんな作品… ベスト 昔はチョッキって言ったよね。 ハンガーは衣紋掛け (えもんかけ) だっけ?ふむ、ふむ。だが… 懐かし物好き昭和世代の新物拒否反応と言うなかれ。最新は常に古(いにしえ)にある。ファーストスターより新しかった星はない。最新の恋とは、恋し続けられている恋なのだから。 ロマン・ポランスキーは けして、 ロマンス・ポランスキーに ならない。 (シネマニアが期待をかけてくれそうな、エッセイタイトルとして使えそうなフレーズだな…意味不明だけど) ロマンとロマンス…same same のようだか、違う。ベストの映画とベストに連なる映画が違うように。 では 「ベストロマン」と 「ベストロマンス」 だったらどうか? たぶん、それらは拮抗するだろう? たとえば… 私にベスト(最高)の物語 『狼王ロボ』と 『ネバー クライ ウルフ (狼よ嘆くな)』 「ベストパートナー」と 「イコールパートナー」 「ソウルメイト」と 「ベストフレンド」 「幸福」と「快適」 「関西のお好み焼き」と 「関東のお好み焼き」 「チョコレートドリンク」と 「ココアドリンク」 「ベイクドチーズケーキ」と 「レアチーズケーキ」 「セレクト」と「チョイス」 「クリフハンガー」と 「クリフ‐ハンガー」 食べ物の例えが並ぶのは…頻繁に通っていた、近隣ベストの大型スーパーマーケットが先月閉店したことに関係してるかも…。最終日に出掛けて、持ち帰れるだけ、買えるだけは買ったが、物事には限界がある。 セレクトしたベストを失うと、後はどれもみな同じに見えて、以後、チョイスし続けなくてはならない… ベストとは何か? 個人的ベストフィルムだが、ベストを着けた少年たちの、暑い夏の、熱い 一夜を描いた映画を想う度に、ここ連日の猛暑にさえ Love It!(最高だ!) と叫呼(きょうこ)したくなる。 そして 個人的に心が凍えた、あの苦い夏さえ、私のベスト(最高)シーズンだったかと思う。
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