ハッピーエンドまであと少し

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 両親は就寝中に殺害されたようだった。  ロメオも事情聴取された。それからしばらくは犯人扱い。  しかし凶器がアイスピックではなかったこと、その場から凶器が見つからなかったこと、さらに逃走者の痕跡も残されていたことから、放免となった。  商いをしていた両親はロメオから見たらもちろん大切で素晴らしい人物だったが、世間一般にはそうではなかったらしい。  寝室からなにも盗難されていないこともあり、怨恨による犯行と思われた。  しかし、犯人は見つからなかった。  なぜ、とロメオは歯噛みする。  犯人の血痕のついたアイスピック、窓からの出入りに使用されたロープなどは残されていたのだ。すぐに犯人は捕まると思っていた。  だが、捕まらない。  一年経ち、警察は捜査を縮小。  二年経ち、さらに捜査人数を減らした。  ロメオは事件後、学校の卒業を待たずに商社を継いだ。  そしてもう警察の捜査を諦め、自ら犯人のことを調べている。  評判の良い探偵事務所に依頼しつつ、自分でも犯人の手がかりを探して一年。  実は、怪しい人物に辿り着いたことはある。仕事の取引相手だ。彼には動機があり、アリバイがなかった。  ロメオは仕事のことと装って近付き、親しくなった。  そしてある時、彼と商談中に派手に紅茶をぶっかけてやった。  すみません、すみませんと謝りながら服を拭き、着替えを差し出し、確認した彼の脇腹には、傷はなかった。  それ以来、犯人とめぼしい人物は挙がってこない。  アイスピックの傷があるはずなのだ。必ず。  それなりに深手だったはずだ。  それを見れば、犯人が分かる。  だが、見なければ分からない。
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