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「いやはや、今年はどんなものが流行っているのでしょうね、長谷川さん」
スーツの着こなしがだらしなく乱れたこの場で最も出来上がっている一人が、その男、長谷川に話しかける。
「今年ではなく5年後ですよ、斎藤君。2020年といえば、東京オリンピックの年ですね」
「あはは、そうでした。いやぁー、慣れませんなぁー、やはりどうなのでしょうねぇ。オリンピックはうまくいったのですかね」
若い一人、斎藤は頭を掻きながら、たどたどしい呂律でかろうじて言う。
「それはそうでしょう、私の計画ではわが社がスポンサーとなる予定ですからね」
「いやはやその通り、それもこれも、僕の、お・か・げ。なんつって」
斎藤が調子よく言うと、長谷川はあきれたように返す。
「君は何もしてないでしょう、それに、“君”だけの力ではありませんよ、情報を有効活用する才能です。もし斎藤君のような軽薄な若者が同じ人脈を手に入れたとして、有効活用はできないでしょう」
「いやはや手厳しい、しかしその通りですね、もう社長には感服してばかりですね、もうそろそろ時間じゃないですか」
斎藤、長谷川、そして部屋にいた重役たちは部屋の隅を見る。
しばらくのち、青い閃光がきらめき部屋の隅に光の塊が現れた。
光の塊は徐々に大きくなり、人間の形をとった。
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