探しもの

　玄関のドアの鍵がない。困った。どうしよう。

　会社に行かなければならないのに玄関ドアの鍵がない。これじゃ鍵開けっ放しで出かけることになるのか、それは嫌だな。そんなことしたら何されるか分からない。つい最近も同じ町の住宅に空き巣が入って、現金や貴重品を盗まれたことがあったのだ。

　これは困った。合鍵を使えばいいじゃないかと言われるかもしれないが吾郎は合鍵もなくした。

　結局探しものの鍵は見つからずに会社に電話をかけて、その日は仕事を遅刻することにして鍵を探した。

　昼を過ぎても見つからなかった。昼の三時を過ぎても見つからなっかった。これでは仕事を休んだ方が良いのではないのかと考えて、会社に電話をかけて、仕事をしごとを休むことを伝えた。

「鍵がないのです」

「そこら辺にあるんじゃないですか」
　上司の女はそんなことを話して機嫌が悪かった。

　吾郎は鍵を探し続けた。探しものは夜が明けても見つからなかった。