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※※※
茉央の荒い呼吸が整うまで、悠理は優しく髪を撫でてくれていた。
行為中はサディスティックな言葉を発しながらも、結局はいつだって優しく茉央に触れてくれる。優しくて愛おしい人。
「茉央、大丈夫?」
「ん…大丈夫」
「今日は、この辺で止めとこうか。あんまり最初から負担かけたくないからさ」
茉央は、達した余韻に浸りながらも悠理の言葉に目を瞠った。
彼の気持ちはとても嬉しいし、茉央を案じているからこその発言だと言うのは分かっている。
分かっているけれど……。だってまだ悠理に殆ど触れていないのに。
それに、彼の雄はスラックス越しに強く主張したまま窮屈そうにしている。
「……俺、もっと悠理に触りたい。悠理にも気持ちよくなってほしいし、最後までする覚悟もできてるから……」
快感の余韻から軽く震えてしまう上半身を起こして、目の前の悠理にぎゅっと抱き着く。
抱きついたまま、彼に自分の気持ちを素直に吐露した。
―――本当に、最後までする覚悟はいつの間にか出来ている。
勉強不足や経験不足な事は否めないけれど、男同士は尻を使って繋がるのだと言う事は分かっているし、きっと自分が所謂受け入れる側になるのだろうという事も何となくわかっていた。
それも承知の上で、茉央は悠理に想いを伝えた。
「……ありがとう。凄く嬉しい。でも…今日は色々準備不足だから最後までは止めとこう」
茉央の事大切にしたいから、と悠理は言葉を続けた。
茉央自身、どうしても今日最後まで致したいと思っていたわけでは無いものの、やはりしゅんとしてしまう。
――ちゃんと勉強して、準備しとけばよかった。
自分の浅はかさが情けなくて、俯いたまま眉尻を下げた。
そんな茉央を見て、何故か悠理はクスッと微笑んだかと思うと、サディスティックさを含んだ妖艶な瞳で茉央に視線を寄せた。
「最後まではしないけど……できるとこまではしようか」
「できる……とこまで?」
「うん、そう。できるとこギリギリまで」
悠理の言葉に、あまりよく分からないながらも曖昧に肯いた。
できるとこギリギリまでとは、どこまでの事を指し示しているのか。
…でも、どこまででも構わない。悠理にも気持ちよくなってほしい。
悠理は、スラックスの前を寛げて下着ごと膝まで下ろすと、徐にベッドサイドの引き出しから透明のボトルを取り出し蓋を開け、反り立った彼自身に垂らした。
それを馴じませるように自ら軽く上下に扱くと、クチュクチュと水音が聞こえてくる。
その音と光景がとても卑猥で、先程達したばかりだというのに茉央の屹立はまた頭を擡げ始めていた。視界と聴覚を刺激されると、どうしても堪らない気持ちになる。
「茉央…ちょっと太腿ぎゅって閉じてくれる?」
再度、ベッドへ押し倒されると、彼に言われた通り太腿にぎゅっと力を込めた。
そこへ悠理の怒張がぬるっと割り入ってきて、突然の甘い刺激に茉央は慄いた。
熱く硬い雄がゆっくりと太腿の間で出し入れされる度に、彼のものと茉央のものが擦れて堪らない快感に襲われる。
ヌチュヌチュと猥りがわしい音を立てながら2人の熱は、どんどん膨らんでいく。
彼の腰が激しく動くと、互いの陰嚢がぶつかり、その微かな刺激さえも茉央の快感を高めていく。
「あ…ぁ、…っん…ふぁ」
「……ん、気持ちいい?」
「ん…きもちい…っぁ、」
茉央を見下ろす悠理の額には汗が滲んでおり、普段とは違う雄の顔をしていた。
確かに挿入はしていないが、これは……紛れもないセックスだ。寧ろ、挿入よりも厭らしいのではないだろうか。
あまりの快楽に頭の中が真っ白になっていく。
このまま甘い快感に浸っていたい。熱い熱に侵されていたい。
自分の口からひっきりなしに甘い声が漏れ、絶頂が近い事を悟りシーツをまたぎゅっと掴もうとすると、それに気付いた悠理は茉央の手を自分の首へと回した。
「あ…ぁ…っ、も…イッちゃ…うっ」
「ん…イッていいよ」
「……っあ、イく…ぅ……っっ」
「……っ」
悠理の首にギュッと掴まったまま言葉を発するのと同時に、茉央の鈴口から白濁が飛び散った。
悠理も一際腰を打ち付けたかと思うと、ブルッと身体を震わせ果てたのだった。
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