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「仕事、…行ったの?」
「……」
「ねえ、夕!!」
問いかけには何も答えず、私の横をすり抜けて夕が部屋に向かっていく。
それを足早に追いかけて、私は感情が高まるままに彼を責め立てた。
「今日お休みだって言ってたじゃん!!
なんで仕事行ってんの?」
「……」
「また呼び出されたの?ねえ、」
「……」
「おかしいよ、だって今日だって何十連勤もしてやっともらったお休みなのに、それなのに呼び出されるって、どうして?」
「……ちょっとハプニングがあったみたいで」
「それって夕じゃなきゃ駄目なの?他の人じゃ駄目なの?わざわざお休みの人を急に呼び出してまでしなきゃいけないことなの!?」
「しょうがねえだろ、仕事なんだから」
「……」
「織華、ちょっとうるさい」
冷たく突き放すような言い草に、思わず追いかけていた足を止める。
なに、それ。
「仕事のことは織華には関係ないだろ。
俺じゃなくてもいいよ、多分。
でも誰かがやんなきゃいけないんだよ。
仕方ねえんだよ。分かってんだよ俺も」
「……」
「それをいちいち言われんの本当に無理なんだけど」
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