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「ごめんな、」
私に殴られるまま、特に抵抗なく夕は受け止め続ける。
「俺、多分麻痺しちゃってたんだと思う。永遠に同じことの繰り返しで、どんなにキツくても体を酷使することが当たり前みたいな、一種の洗脳?かな」
「……」
「これでも初めはこんな不条理に反抗してた時もあったんだけどな、おかしいよな」
「……」
「でもさ、俺、多分今織華と別れたら死ぬよ?過労死待たずに」
「……」
「すぐ死ぬ。無理、耐えられない」
「……そう簡単に死を軽々しく口にするんじゃないよ」
「本当のことだし」
「私のこと脅してんの?別れたら死ぬよって」
「そう」
「メンヘラかよ……」
「ごめんな、」
どうしても、
そう言って夕は、自分の胸にあった私の手をそっと優しく握りしめ、ゆっくりと抱き寄せた。
「お前だけは、離せない」
「……っ、」
同じだ。
私もとんだメンヘラだ。
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