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キマグレとフキゲン
>>AM 7:00
起きた瞬間に嫌な予感しかしなかった。
耳。完璧に捉えた、雫が窓を叩く音。
目。朝だというのに妙に薄暗い。
嘘でしょ、昨日の時点では天気予報は晴れだったのに、とベッドから降りたって、恐る恐るカーテンから窓の外を覗き込み。
絶望。大きくため息をつく。
完全に脱力した私は、とぼとぼと悲壮感丸出しの足音を意味もなく鳴らし、先程まで自分を包んでくれた温もりを感じるため、またベッドに潜り込む。
モゾモゾと動き回り、望んでいた背中を見つけ、相手を起きようが構わないと言ったばかりにそこへ擦り寄った。
「……は、なに、……織華……?」
「……」
「どしたー……」
「……雨、降ってんですけど」
眠そうに間延びした声を漏らし、夕はゆっくりとこちらに寝返りを打った。
そして完全に不貞腐れている私と、窓の外へ交互に視線を向け、「あー…」と納得したように声を漏らした。
「降ってんなー、完全に」
「……」
「出かける予定だったもんな、今日」
「……もう今日は家から出ない」
「なんで。雨でも遊びに行けばいいじゃん」
「嫌いだもん雨」
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