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「……ありがとうございました」
「え」
「これで私の人生に悔いはありません」
「何言ってんの、やめて」
布団を顔半分まで引き上げて、目だけ昴くんを見上げれば、呆れたような、それでも愛しさに溢れた視線を落としながら、私の頭を撫でる。
「あのね、めっちゃビッチなこと言っていい?」
「どーぞ」
「"今までで1番よかった"」
「……じゃあ俺も童貞っぽいこと言っていい?」
「どうぞ」
「"世界変わった"」
「なにそれ面白い」
くすくす、と笑ってしまえば、上まで引き上げたシーツを剥いで、昴くんが見下ろしてくる。そのままま私を引き寄せて、耳元で甘えるように囁く。
「……ね、あと少し休んだらもう1回いい?」
耳を甘噛みされてしまえば、引いていたはずの熱が戻ってくるのを感じた。返事をしないままもぞもぞと身体を動かせば、たまらないと言ったばかりに昴くんが笑いをこぼして、私のこめかみ辺りに口をつけた。
「……あ、」
「なに?」
「今、思いついたんだけど」
「?」
「サンちゃんの名前の由来」
また、何かを発見したみたいに目を煌めかせて、昴くんは私を覗き込む。漆黒の瞳に私が映って、愛おしそうに緩まった。頬を撫でながらその唇が、柔らかく孤を描きながらゆっくり動く。
「るなだから」
「え?」
「高嶺が月だから。サンちゃんは日なんだろ?」
「……」
「いい名前。どっちも」
にこっと笑う昴くんに胸が締め付けられる。
……たまらない。やっぱり昴くんは期待以上のスパダリだ。
「昴くん!」
「え、わ、なに、」
「今度は私が上で動くから!!」
「ちょ、高嶺、待って、」
「ビッチの本領見せてあげる!!!」
そのままの私でいいって言ってくれたでしょ。
だからこれからも、ちょっと破廉恥で少し、というか大分積極的に求めてしまうかもしれないけど。
こんな私をこれからも、よろしくね。昴くん。
はじめてのよる fin.
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