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すうがくなあさ
AM7:00の教室。カーテンは完全に開け放されており、太陽の光が何者にも遮られることなく、静かな教室にそそぎこむ。
今はしんとしてるこの空間も、じきにクラスメイト達で溢れて、賑やかないつも通りの日常に変わるのだろう。
そう、今は、静かにシャーペンを握って、勉強に集中してるわけで。
『……ぅあ、っはああん、あ』
真剣に、イコールで繋がる方程式を解いてるわけで。
XとYに隠れた数字を探してる、わけ、で、
『あっ、やあん、ん、そこ、だめぇ』
いや、だめぇ、じゃなくて。
「……高嶺」
「んー?」
「ごめんだけど、全然集中できない」
「え?ほんと?」
「ほんと」
そもそもなぜ、学びを得るこの場に不釣り合いな喘ぎ声が、こんなにも堂々とスマホから響き渡ってるのだろう。こんなのをBGMに勉強するなんて初めての経験だ。男子同士の下ネタならともかく、ここに座ってるのは健全な男女、清い仲のクラスメイト、高嶺と俺、ふたり。
俺の疑問に高嶺は、綺麗にカールした睫毛をばさばさ揺らして、きょとんと目を大きくした。
やめてそんな反応するの。
俺がおかしいみたい。
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