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「……なに」
「私ねえ、昴くんの、真面目に見えて程よく力が抜けてるところが、好き」
「……」
「硬そうに見えて、冗談通じるとこも、好き」
「……どーも」
「ねえねえ、昴くんって本当に童貞なの?」
「うん、そうだけど」
「ほんと君、美味しそうすぎるね」
艶やかに照る、赤い唇を誘うように動かして。
高嶺はその色気と相反するくらいの無邪気な笑顔で俺に微笑みかけた。
「捨てたくなったら、いつでも私を呼んでね?」
換気のために開けっ放しだった窓から、風が入り込む。
2人の間にも届いたそれが、いかにも男ウケが良さそうな、石鹸と花とか入り交じった香水の香りを俺の元へと運んでくる。
これは、高嶺の香りだ。
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