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「なんでもない、間違えた」
「……なんだよ、昴。お前俺が羨ましくないってか!」
「え」
「あの、めっちゃ可愛くてめっちゃえろい高嶺ちゃんだぞ!芸能人レベルの女の子とセックス出来るなんて、早々ないんだからな!?」
「金払ってるけどな」
「毎朝高嶺ちゃんと勉強してるからって、調子のってんじゃねえぞ……」
「ちゃんと羨ましいと思ってるよ」
俺は触れたことすらないから。
そう言えば須藤その他の男達は目を点にして俺を見るけど、その視線を避けるように自分の席に戻った。
高嶺はタダじゃさせないけど、お金を払えば誰でもやらせてくれると有名だった。同じ高校の男は気まづいから、他所の男より若干高めに金額設定しているらしい。そのからくりを知ってるのは、きっと俺だけだと思う。
窓際、前から3番目。高嶺は伏せって眠っていた。
夜は遅くまで男と絡み合い、朝は早起きして俺と勉強してる。そりゃ眠い。寝顔をこうして無防備にさらけ出してしまうくらいに眠いんだろう。しかも謎にえろいから、目が釘付けな男子もいる。そんな俺達を女子はくそみたいな目線を向けてくる。
教室だから、こんな、隙だらけなんだ。
きっと男と2人の時は危ないってこと、高嶺は分かってる。だから俺の前でもうたた寝をしたことは、ない。
俺も、さすがに録音するとまでは思われてないと思うけど、結局警戒されてんだろうな。
ビッチなのかそうじゃないのか、分からない女だ。
太陽が眩しさにプラスして暖かなぬくもりまで届けるから、俺もつられるように微睡みに落ちそうになるのを必死に堪えた。
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