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1日目
1日目
今朝、私の家に雲が生まれた。
薄暗い日の出前のリビングのテーブルで白い雲が花を浮かばせた青い皿の上で縮こまっていた。
雲は水と空気があるところに生まれる。そうは聞いていたけどまさか私の家で生まれるとは思っていなかった。雲の大きさは15センチ直径の皿の3分の2より一回り大きい。
お腹が空いているらしい。私が見ている前で、皿の水面から丸い水滴が切り離されては一滴、一滴と雲の中へ消えていく。もっとザアザアと飲めばいいのに、この雲は遠慮しいなのか。
クルクルと皿の黄色い花が回る。一滴ずつとはいえ、減っていくから水に流れが生まれたらしい。ちょうど雲が水を吸っている場所に花がきた。すると雲が皿の反対側に動いた。雲が自力で動くの初めて見た。すうっと最初いた場所から溶けたと思ったら次の瞬間には別の場所にいる。瞬間移動みたいだ。しばらく吸ってるとまた花がきた。また動く。それを繰り返す。花と雲の鬼ごっこを観戦して気付いた。花邪魔でうまく飲めないのか。もう少しで取り替えようと思っていた花だ。取って飲みやすくしてあげよう。皿に手を伸ばす。
あれ、皿に入れていた花ってこの一輪だけだったけ。確か、もう一輪白い花があったはずなのに。どこいった。
その時、リビングの窓から朝日が差し込んできた。薄暗かったリビングが明るくなる。
皿の上にいた雲も朝日に照らされる。白色から朝焼けの赤色に全部変わると思っていた。しかし白いところがある。よく見ると花だ。なるほどこの雲が食べてたのか。
赤色ベースの雲の中を白い花がクルクル回る。雲に花をいけるのも悪くないな。
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