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「こんにちは。冒険者カードは持ってるかい?」
「すいません。僕冒険者になりたくてここまで乗せてもらったのでまだ登録してないです。」
「そうかい。冒険者カードがない場合通行料として1000オンかかるんだけど持ってるかい?」
「1000オンですか!?」
カノンが驚くのも無理はない。村では狩猟や作物の栽培で生活する人がほとんどで自給自足が普通だった。家も自分の持ち家なので生活する上でお金がほとんどかからないのだ。
大人ひとりが1ヶ月生活するのに10000オンあれば足りる。そんな生活をしてきたカノンにとって1000オンはかなりの高額だった。
財布の中には当面の生活費として貯めてきた5000オンある。冒険者として稼げるようになるまでこのお金を切り崩して行く予定だった。
(でも払わないと入れないしこれは仕方ないね。)
カノンが財布からお金を取り出そうとした時ガノンが声をかける。
「それなら儂が出しておこう。」
「ダメですよガノンさん!これは僕が払わないといけないです!」
そう言うとガノンは豪快に笑う。
「坊主のそういう所が気に入ったんだ。いいから今回はじじぃに出させろ。ここまで安全に旅ができた報酬だと思ってくれ。」
「でも・・・」
「ならこの後にあの魔物避けの作り方を教えてくれ。次からも使いたいからのう。」
魔物避けの講師料としてガノンは通行料を払うと言った。
カノンにとっては嬉しい申し出だがここまで乗せてくれた上にお金迄出してもらうのは少し気が引けるのも事実だった。
「甘えとけ坊主。ガノンさんがここまで言うのは珍しいぜ?よっぽど気に入られたんだな。それに子供なんだから大人の好意は素直に受け取るのも大事な事だと俺は思うけどな。」
その門番の一言でカノンも決心した。
「ではお言葉に甘えて。ガノンさんありがとうございます!」
「おうよ!」
嬉しそうなガノン。傍から見れば祖父と孫に見えるだろう。
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