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「よし。」
意を決して扉を開けようと手を伸ばした時それに呼応するかのように勝手に扉が開いた。
「あ、えっと・・・」
固まるカノン。いきなり目の前に現れた少女に戸惑いを隠せなかった。
心の準備が出来てないまま急に人が現れたので何を話せばいいのかわからず脳内がパニック状態に陥った。
「まあ入りたまえ。」
「し、失礼します。」
少女に促されてカノンはギルドの中に入る。
周りを見渡すと外見ほど壊れた様子はなくきちんと清掃されているのがよく分かる。
奥を見るとカウンターテーブルが見えた。
「おおー。」
カノンの目は輝いていた。
(あの三人は冒険者さんだ!凄いなぁーかっこいいなぁ!)
テーブルに座る三人を見てテンションが上がるカノン。
まさか残念な二つ名をつけられたニート予備軍だとは気づかないだろう。
「それで少年なんの用でうちに来た?」
少女からの問いかけに目的を思い出したカノンはガノンから貰ったメモ用紙を見せる。
「ゴミか?」
「違いますよ!僕冒険者になりたくて村からこの国に来たんです。その時一緒にいたおじいさんがこのギルドのマスターにこの紙を見せたら全て上手くいくって言われたんです。」
「?」
今度は無表情を貫く少女の脳内がパニックになる。
(こんな子供が冒険者?それにこんなゴミを見せるだけで上手くいくだと?)
ああ、この子は可哀想に新手の詐欺にあったのだな。
少女はそう自己完結しとりあえず折りたたまれた紙を受け取り中身を確認する。
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