王都ディルニール

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「はいよ。まず名前から教えてくれないか?」 少女はカノンに柑橘系のジュースを渡す。 「僕の名前はカノンと言います。冒険者になりたくて村からこの国に出てきました。」 「カノンねぇ・・・名前もよく似てるな。」 「ガノンさんですか?」 明らかにギルドの雰囲気が変わったのがガノンの名前を出した直後からだ。 「このギルドの奴らまぁマスターの私もだがあのじいさんに少なからず恩があるんだ。」 「ガノンさんに救われたんですか?」 「なんでそう思った?」 「ただの勘です。ただマスターさんの顔がそんな感じだったので。」 カノンがそう話すと奥で飲んでいた内の一人が会話に入ってくる。 「マスターのポーカーフェイスを見破るとはなかなかの眼力の持ち主でござるな。」 「こらござるんご。大事な話をしているのにちゃちゃを入れるな。」 「だからその二つ名で呼ぶのは辞めるでござる!!」 「二つ名!?やっぱり皆さん凄い実力者なんですね!?」 二つ名と聞いてカノンの目の輝きがいっそう増す。冒険者にとっては二つ名持ちとは尊敬の対象だ。 冒険者を目ざしてきたカノンにとったらヒーローのような存在なのだ。 しかしこの会話を聞いて疑問点が出てきた。その疑問にいち早く気づいたのはマスターだった。
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