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「村がある場所が森の近くだったんで僕のことがバレる心配がなかったんです。」
「なるほどな。辺境の地までわざわざ王国の騎士様が視察に行かないからな。」
王国の騎士様という言葉からマスターがこの国をどんなふうに思っているのかが分かる。
「後は王国ぐらい攻めてきても片手でひねり潰せるって村長が言ってました。」
ガタン
その一言を聞いて他の四人は椅子から転げ落ちた。
「片手でひねり潰せる?それはなんとも穏やかな話じゃないな。」
「ははは。そうですよね普通王国の騎士なら一人でドラゴンくらい相手出来ますよね?そんな人たち相手に片手は流石に言い過ぎですよね。」
カノンは笑いながら言い放ったが四人は引き笑いを起こすしか無かった。
「ど、ドラゴンねぇ・・・」
「そんなもの相手に出来るのは二つ名持ちぐらいでござるな・・・」
奥の二人も無言で何度も頷いた。
しかしカノンを見るととても冗談を言っているような感じではなかった。
(どうやら本気でそう思ってるって顔だな・・・)
マスターは悩む。こんな世間知らずを街中に放っていいのだろうか?
そもそも魔力が見えるという秘密を問いただしただけで全部話すような子供だ。嘘がつけそうにない性格なのですぐに王国兵に捕えられる未来しか見えなかった。
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