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「カノンは冒険者になりたいんだな?」
「はい!それが僕の夢だったんです!」
キラキラと光る目を見ると断る雰囲気にもなれなかった。しかしマスターには確認しなければならないことがあった。
「まぁ別にうちのギルドで良ければ冒険者登録はするんだが本当にいいのか?見てもらったらわかるようにこのギルドは潰れかけだぞ?」
「潰れてないのなら問題ないです!」
「依頼なんて滅多に来ないぞ?」
「評判が良くなれば自然と依頼は増えると聞きました!それにゼロじゃないなら大丈夫です!」
出来れば自分から「このギルドはやめときます」と言って欲しかったマスターだがこの感じでは何を言っても無駄のようだ。
観念したマスターは奥に戻り一枚の紙を持ってきた。
「お前が望むならこちらとして断る要素はない。この紙に必要事項を書いてくれ。」
「え?」
何故か驚くカノン。
「なんだ?やっぱりやめとくか?」
マスターがそう聞くとものすごい勢いで首を左右に振る。
「ち、違います!」
「ならどうした?」
「えっとですね・・・」
何故か言い淀むカノンに対して隣にいたござるんごは気づく。
「もしやカノン殿文字の読み書きが苦手でござるか?」
「・・・はい。読むのはまだいいんですけど書くとなると全く・・・。」
しょんぼりするカノンにござるんごは優しく微笑む。
「なら拙者が代筆してあげるでござるよ。」
「いいんですか?」
「困った時はお互い様でござるよ。」
「ありがとうございます!ござるんごさん!」
その一言で侍は椅子から転げ落ち奥の二人は口に含んでいた酒を盛大に吐き出した。
そして大声で笑い始める。
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