王都ディルニール

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「魔力の流れはわかるな?」 「はい。」 「ならこの水晶に魔力を流してくれ。流す量は少しで大丈夫だからな。」 マスターに言われた通りにカノンは水晶に右手を置き魔力を少しだけ流す。 「お、出たでござるな。どれどれ・・・ほぉ1000とはなかなか優秀でござるな。」 カノンには読めなかったが水晶の中に1000という数字が浮かんでいるようだった。 「それって多いんですか?」 「まぁカノンくらいの歳だとかなり多い方だな。普通は500位が平均でそこから鍛錬で伸ばして学園入学者でギリギリ1000あるかないか位だ。」 ちなみにこの世界の学園入学年齢は15歳からの5年間とされている。 「そういえばカノン殿はいくつでござるか?」 「えっと来月が誕生日なので今はまだ10歳ですよ。」 カノンの年齢を聞いてマスターの表情が少し強ばった。 「お前まだ10歳なのか?」 「ええ。もしかしてギルドに入るのって年齢制限があったりするんですか!?」 それなら村を出た意味が無くなる。冒険者になりたくてここまで来たのに仕事がなければ生活ができない。 10歳ながらここまで瞬時に考えるカノンは生まれた環境の為か同い年の子供に比べて考え方が大人のようだった。 「それは大丈夫でござるよ。拙者もカノン殿と同じくらいの歳に冒険者登録をしたでござるから。」 「ああ。私が驚いたのは10歳で魔力量1000を保有していることについてだ。世間では天才とされてるレベルだからな。」 「そ、そんな!?僕なんて村の中では草むしりとか荷物持ちしか出来ない普通の子供ですよ!村の皆からも「お前が冒険者とか怪我するからやめとけ。」って止められたくらいなんですからね。」 必死に伝えてくるあたり本当の話なんだろうとマスターとリンはお茶を飲みながらカノンを宥める。
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