少年初任務を受ける

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「あとは水を入れる水筒等あった方がいいものがござるがこの辺はその都度教えるでござるよ。まずはナイフと火打石そして最低限のポーションの調達からでござる。」 「皆さんはどうやって調達してるんですか?」 カノンの質問にリンは少し考えてから答える。 「そうでござるな・・・消耗品なら道具屋、装備なら鍛冶屋で購入することが多いでござるな。調合スキルがあるなら自分で採取してポーションを作る人もいるでござるよ。」 「調合スキルですか。僕にはないスキルなので購入するしかなさそうです。」 「新人冒険者の殆どがまずは装備を揃えるために簡単な依頼を受けてお金を貯めるでござるよ。その日を生き抜くお金と装備品のお金を少しずつ貯めて初めて買った装備品はなんとも言えぬ気持ちになれるでござるよ。」 そう言うリンは昔を懐かしがっている様子だった。 「でも全部買う必要は無いでござる。」 「え?」 リンはそう言うとポケットからナイフと火打石を取り出した。 「これは拙者が前に使っていたものでござる。ナイフと火打石は新品を買うと手入れが大変なので多少使い込んでいるものの方がいいんでござるよ。拙者のお古になるでござるがカノン殿にあげるでござる。」 「そんな!リンさんの大切な道具を貰えませんよ!」 カノンがそう言うとリンは笑って答える。 「拙者には今使ってるものがあるでござる。それに道具は使ってなんぼでござるよ。ホコリを被るよりカノン殿に使ってもらえる方が拙者としても嬉しいでござるよ。まぁカノン殿の冒険者祝いってことで受け取って欲しいでござる。」 カノンは少し考えたが目の前で笑いながら差し出してくれるリンに対して断る方が悪いと考え素直に貰うことにした。 「ありがとうございます!大切に使わせてもらいます!」 ナイフと火打石を手に取ると程よい重さを感じる。改めて自分専用の道具を手にしたことでカノンの顔は嬉しさから笑みがこぼれる。
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