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「全くマスターはこういう所が抜けてるでござるな。」
「依頼書見た時に気づけよ。」
ドワーフのツッコミはともっともであった。
「じゃあ今日は依頼ないんですか?」
不安になったカノンはリンに問いかけた。
「ん?こいつははじめて見る顔だな。」
「カノンです。昨日この街に来てリンさんの所属するギルドにお世話になってます。」
「あのギルドの人間にしては礼儀正しいな。俺はドワーフのドッソだ。昨日来たならこれが初依頼だったのか。」
「はい。でもないのなら仕方ないです。」
寂しそうに言うカノンの姿にドッソの良心がチクリと痛む。
「あーあ。こんな可愛らしい少年をガッカリさせるなんて悪い大人でござるなぁー。」
「う、うるせぇ!そもそもお前んとこがちゃんと見てないからだな・・・」
そう言うとドッソはちらりと自分の工房を見る。
「あー、なんだせっかく来たんだから少しお願いするとしよう。」
その言葉でカノンの表情から暗さが消える。
「依頼ですか!?」
「カノン殿落ち着くでござるよ。お願いというのはなんでござるか?」
飛びつくカノンとは対照的に落ち着いて仕事の話をするリンはさすが手練た冒険者と言ったところか。
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