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時は1507年5月の戦国時代に遡る・・・。 私はそこで暁久様と出逢った。 今日はお姉様の婚約者である前野家のご嫡男の暁久様との初顔合わせの日。 前野家は代々続く有名なお武家様。 お姉様は5歳、暁久様は6歳の頃に婚約者になったと聞く。 橘家(たちばなけ)も代々続く武家だったけど前野家に比べれば天と地程の差があった。 前野家は橘家の領土目当てで、この婚約が決まったのではないかと私は父から聞かされた。 お姉様は今17歳で私は15歳。 「お姉様とってもお綺麗です」 「ふふっありがとう咲。あなたも綺麗よ」 「暁久様どんな方なんでしょうか?素敵な方だといいですねお姉様」 「ええ。きっと素敵な方だと思うわ」 そして暁久様一行が我が家に来られた。 「暁久様ようこそおいで下さった。こちらへどうぞ」と父上が暁久様を席に案内した。 「ああ(かたじけ)ない」 そして暁久様が席に腰を下ろした。 「さあ牡丹(ぼたん)暁久様にご挨拶しなさい」 「暁久様牡丹にございます。末永くよろしくお願いします」 「あなたが牡丹か。ああ、こちらこそよろしく」 暁久様想像した通りに素敵な方。 お姉様と二人並んでいると一枚の絵みたいでとても綺麗でお似合いだわ。 「暁久様妹の咲にございます。お姉様をよろしくお願いします」 「咲か・・・ああよろしく」と暁久様と()が合った瞬間、何故か私の胸がきゅっと痛んだ。 この胸の痛みはなんなのかしら? この時の私はまだ分からなかったの。 この胸の痛みは彼に恋したからなのだと言う事を・・・。 そして無事に初顔合わせは終わった。 「牡丹暁久様は気に入ったか?」 「父上・・・はいとても素敵な殿方でしたわ」 「そうだろう。暁久様もお前を気に入ったそうだ。婚儀の日が楽しみでならん」 「まあ父上少し気が早いですわ」 「近いうちに婚儀の準備に入るだろう」 「父上、お姉様がお嫁に行かれるのは少し寂しいですが、婚儀の日がすごく楽しみです」 「ははっそうだな。咲も暁久様みたいな方を兄と呼べるのだから喜べ」 「ええ。これからは暁久様を、お兄様とお呼びしますわ父上」 「ああ。そう呼ぶといい。暁久様も喜んでくれる事だろう。暁久様に妹はいないそうだからな。思いっきり甘えてもいいかも知れんな」 「ふふっ適度に甘えさせてもらいますわ父上」
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