始業式

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教室(きょうしつ)(はい)ってザッと(まわ)りを見る。 男子(だんし)女子(じょし)数人(すうにん)(かた)まって大きなグループを作っていた。 中心(ちゅうしん)晴香(はるか)睦月(むつき)。 家が近所(きんじょ)(むかし)からよく(あそ)んでた幼馴染(おさななじみ)の睦月。 ただ5年生になってから睦月(むつき)のサッカーが(いそ)しくて、(しゅう)に1、2()しか(あそ)んでない。 そのサッカーで5年生なのに試合(しあい)に出ると言う偉業(いぎょう)達成(たっせい)した睦月(むつき)は、いつの()にか、小学校(しょうがっこう)人気者(にんきもの)になっていた。 睦月(むつき)がわたしに気付いて、()をあげた。 「美羽(みわ)秋本(あきもと)も!今年(ことし)(おな)じクラスだな。(よろ)しく」 大きな(こえ)。 私もななちゃんもびっくりする。 みんなの視線(しせん)が私たちに集中(しゅうちゅう)した。 私はあんまり人に見られるのは得意(とくい)じゃない。 緊張(きんちょう)しながら睦月(むつき)に手を()る。 ななちゃんは、大きな(こえ)睦月(むつき)挨拶(あいさつ)(?)する。 「晴香(はるか)!私はついでかもしれないけど」 そこで言葉(ことば)を止めてななちゃんは(いき)を思いきっり()()んだ。 次の瞬間(しゅんかん)「よ・ろ・し・くーー!」と大きな声。 鼓膜(こまく)(やぶ)れるかと思った。 みんなポカーンとした(かお)をして見てる。 ななちゃんは(ほか)の人のことなんてお(かま)いなしで、わたしと()(つな)いだままわたしの(せき)まで移動(いどう)した。 「ななちゃん、(こえ)大きいよ!」 わたしは(あせ)ってななちゃんに抗議(こうぎ)する。 「いいの、いいの。みんなびっくりしてたでしょ!たのしー!!」 (うれ)しそうにそんなことをいうななちゃんにあんまり目立(めだ)ちたくない私は(かた)をすくめた。
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