始業式

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ななちゃんが自分(じぶん)(せき)()かっていくとわたしは一人(ひとり)になった。 (まわ)りを見渡(みわた)すと結城(ゆうき)君がいた。 (いま)全部(ぜんぶ)見られてたんだ。 結城(ゆうき)君と()()う。 あ。と思った次の瞬間(しゅんかん)には結城(ゆうき)君が(ほか)友達(ともだち)(ほう)()いた。 (へん)な子だって思われたのかもっ? わたしは結城君と一瞬(いっしゅん)目があった幸せと「もしかしたらへんな子と思われたかもしれない」恥ずかしさで(あたま)をグルグルさせながら(あさ)支度(したく)をする。 結城(ゆうき)君の(せき)はわたしの(なな)(うし)ろ。 こんなに(ちか)くの(せき)(じつ)(はじ)めてだ。 ランドセルを片付けるために席を立つ。 (うし)ろを向くと結城(ゆうき)君が見える。 わたしは(こころ)の中で神様(かみさま)(つぶや)く。 神様(かみさま)!ありがとうございます! (おな)じクラスで、しかもこんなに(せき)(ちか)い。 (うれ)しすぎるぅ! わたしはスキップしそうないきおいで教室の後ろに移動する。 わたしが(こころ)の中でガッツポーズをしているとななちゃんがランドセルを片付けてやってきた。 わたしの(よこ)にならんで不満(ふまん)げにつぶやく。 「クラス()えの(とき)って(おな)じクラスだと(うれ)しいけど、美羽(みわ)絶対(ぜったい)(せき)(はな)れるじゃない。(いや)だなぁ」 ななちゃんの苗字(みょうじ)は「秋本(あきもと)」だから大体(だいたい)左端(ひだりはし)一番(いちばん)(まえ)だ。 クラス替えのある4月はあいうえお(じゅん)に席が決まっている。 わたしは「前田(まえだ)」、どちらかと言うと教室(きょうしつ)右側(みぎがわ)になることが多い。
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