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ヒョイっと睦月がななちゃんの横から顔を出した。
「よぉ!美羽、席近いな」
わたしの斜め前が睦月だった。
ななちゃんが睦月にあたり始める。
「えぇーー!家も近所でなんで席まで近いワケ?!美羽の隣はわたしの場所なのに!!わたしの席、美羽から遠いじゃん」
ななちゃんがバンバン睦月の肩を叩く。
そんなに力は入ってないから痛くはない叩き方。
ななちゃんの事を知ってる子は大体分かってる事なのに、周りの女子が騒ぎ始めてる。
「晴香君に暴力してるよ」
「晴香君かわいそう」
「あんなに叩かなくていいのに」
わたしの耳に入るヒソヒソ声。
わたしは慌ててななちゃんを止める。
「ななちゃん、そんなにバンバンしないで」
そんなに大きな声じゃないけど、ななちゃんには声が届いたみたいですぐに手は下ろされた。
睦月が笑いながらボソッと呟いた。
「秋本、本当に美羽が好きだよなぁ」
「当たり前じゃん!私は美羽が大好きなの」
ななちゃんが大きな声で睦月の呟きに返す。
は、恥ずかしい。
わたしはななちゃんに「大好きだよ」とよく言われる。
でも、何度言われても照れてしまう。
今だってそう。
わたしもななちゃんの事大好きだけど、そんなにストレートに大好きなんて言えないんだ。
恥ずかしくて。
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