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移動販売車で
日向君は、いつも誰かと話していて、一人になることが少なかった。
人気者ね。
話しかける隙間はお昼の時間しかないと思い、ビルの入り口で待ちぶせ。
日向君はいつもコンビニのおにぎりを買って、すぐに席で寝ているからね。
コンビニの袋を持って速足で戻ってきた日向君に、声を掛ける。
「あの、すいません」
「?はい」
私のことを見ても誰か分からない様だった。
あ、清掃の服を着ているからか。
私は、帽子を取る。
「あ、きよこさんじゃないですか!」
「(照)」
そういえばこの前のカレー店で名前を聞かれ、苗字は教えず、名前だけ教えていたんだったわ。
「清掃のお仕事していたんですね。どうりで、オフィスで見ないわけだ」
探してくれたのかしら。
「突然なのだけれど、日向君のカレー屋さん、このビルの前で移動販売車で販売しないかしら? 今、一枠空いているみたいで」
「ええ!そんないい話。きっと店長喜びますよ。あ、でも移動販売車用意できるかどうか……」
「ああ、それは、私手配するわよ」
「え!それはありがたいですが。そういう物をポンって用意できるのですか?!」
ああ、気を付けないと。
「移動販売車を安く借りられる所知っているのよ。知り合いだから格安で借りられるの。仲のいい人が、秘書課に居てね。色々と知っているのよ」
嘘はいってない。秘書課のさとちゃんとは仲いいんだから。
「そうなんですか!じゃあ、店長に聞いておきますね!いい話をありがとうございます」
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