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あの日以来、スケッチを描いていると、たまに世界がおかしくなる。
トリガーはおそらく妄想だ。
初めて世界がおかしくなったのも、頭の中で森が街を飲みこんでしまう風景をぼんやりと想像したときだった。
これはなんらかの能力だ、そう思うこともあった。生まれたときにあらゆる取り柄を没収された僕の、ただ一つの力だと自惚れたこともある。
だけどこんな力、なんの役に立つんだ。
妄想というより幻覚だ。
それも五感すべてに作用する厄介なタイプ。
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