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ピピー。
主審の笛が響く。
「ゲームセット」
同じタイミングでアディショナルタイムも終了して、試合は負けた。
寛太の高校生活最後の大会が一回戦で終わった。
いつもの事だ、涙など出ない。
なにせ高校生活で一戦も勝利を味わった事などないのだ。
「ちょっとかーんたー」
ヤベッ、マネージャーの瞳がベンチからすっ飛んできた。
寛太はすかさず両手で顔を覆うと、芝生の上で仰向けになったまま、肩を震わせた。
「あんたねー」
瞳は寛太の顔を覗き込みながら、怒りを隠そうともせず大声を上げた。
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