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大輔三年生
幼さも無くなりすっかり青年の顔になった大輔。顔だけじゃなく身体も成長し、僕の背をいつのまにか追い越してしまっていた。少しだけ高い目線になんだか慣れない。
大輔の甘えたように「センセ」と僕を呼ぶ少しだけ掠れた声が嫌い。
僕が手を伸ばすとそれに応えて繋いでくれる大きな手が嫌い。
僕の『待て』を上手に守れる忠犬ぶりが嫌い。
大輔がくれる花が嫌い。
大輔の事を想うだけで熱くなる身体が嫌い。
――――嘘。全部好き……っ。
僕の心に住み着いてしまったキミ。気が付けば僕の心はキミでいっぱいだ。
もう彼の気配なんて微塵もない。
いや……本当は最初から彼の幻影なんて存在しなかったんだ。ただ僕が彼の事を綺麗さっぱり忘れてしまえば、彼らが言うように自分がビッチになってしまったようで嫌だった。僕は捨てられてもずっとずっと彼の事が好きで、僕と彼との事は確かに恋だったのだと思いたかったんだ。だって、そうじゃなきゃ自分があまりにも惨めすぎる……。
復讐だって、本当は最初からそんなつもりなんかなかった。
ただ大輔と付き合う為の言い訳だ。
大輔が好き。好きだから付き合いたい。だけど、きっと卒業と同時に別れはきてしまう。期間限定の恋。
――だから僕は復讐をするという言い訳を自分自身にした。そして卒業時には僕の方から別れてあげようって思ったんだ。
大輔は彼とは違う。同じ別れるにしてもきっと大輔は言い出せないだろう。
それなら年上の僕から言わなきゃ――。
だから、だからさ、思い出をください。
一度だけでもいいから抱いて欲しい――。
このまま何もないままお別れしたら僕の中に大輔は残っても、大輔の中に僕は残れない。本当は僕の事なんて綺麗に忘れてもらった方がいいに決まってる。だけど僕の事を大輔に覚えていて欲しいと思った。
あんな中途半端なものじゃなくて、ちゃんと最後まで……大輔に僕の中で気持ちよくなってもらって、僕の中に大輔の熱を放って欲しい……。
本当は直接がいいけど、それは教師の立場からも言えない。
こんな時だけ教師だなんて、僕はどこまでも自分勝手だ。
3年前のあの日、本当は大輔の笑顔にひと目惚れした。
大輔からの告白がすごく嬉しかった。
大輔が僕の事を花のようだと言ってくれて嬉しかった。
大輔の話は何でも嬉しくて楽しくてもっともっと聞いていたかった。
もっともっと、もっとも――っと大輔とキスをして抱き合って、好きって言いたかった。
だけど僕は大輔が卒業する時別れがくるのを分かっていたから、深入りはしないって決めていたんだ。結局はどっぷりハマってしまったんだけどね……。
大輔……好き、だったよ――。
大輔が卒業するまであと――――――。
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