卒業という名の・・・

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卒業という名の・・・

 どんなに願っても結局は僕たちの別れは覆らない。  とうとう卒業の日を迎えてしまった。  その日の空は彼らの門出を祝うかのように、雲ひとつない突き抜けるような青空だった。 *****  今日は、大輔に卒業式の後話したい事があるから絶対に会ってと念を押されていた。  僕があまりにもダメだから僕からは言えないと思ってキミから……言ってくれる、の……?  ――――そっか。  震える足を一歩一歩と前に出す事で近づいてくる化学準備室。  この3年間キミと一緒にいる事ができてとても幸せだった。この場所でキミといられて幸せで幸せでたまらなかった。  僕がこのまま化学準備室に行かなければ僕たちは別れないですむのかな……?  卒業なんかしないでずっと高校生でいて欲しい。それが無理ならこの場所に閉じ込めて――――なんて現実味のない事まで考えてしまった。  ああ、もうダメだ。  今日が最後だと思うと胸が痛い。痛くて痛くて堪らない。  あんなにあんなに大輔を悪者にしてまで(・・・・・・・)この別れを受け入れられるようにしたのに。こんなに辛い……。  だけど何がどうなったとしても大輔は卒業した(・・)んだ。  だからもう本当に今日が最後なんだ。  今日しか抱いてもらう機会はない。  一度だけでいいから抱いて欲しい……。  僕たちの恋がちゃんと恋だったって事にさせて、ください――。  泣いて縋ったりなんてしないから。  大輔の中の僕はいつまでも素敵な大人でいたいから。  それだけは絶対に……絶対に――――。
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